僕には三歳以前の記憶がない。
それを聞いても、そんなものは覚えていないのが普通だと言われてしまうだろうが、そういうことではなく、本当に“ない”のだ。
僕の人生は三歳四ヶ月から始まった。あるいは三歳四ヶ月で――終わったのだ。
僕は山と積まれた子どもの中で生まれた。
それは比喩でも誇張でもなく、文字通り、山であった。数十では足りない、無数の人体に、僕は埋もれていた。
そこには胎児や幼児、十を越えた子どももいたが、彼らは差別や区別なく同様に一つ所に積まれ、火葬を待っていた。皆、死んでいたのだ。
初めて目を開けた時のことを僕は良く覚えている。目を開ける直前に、『悪い夢を見ていた』――そう思った。
しかし次の瞬間、夢よりも悪い現実を、僕は見ることとなった。
人が泣きながら生まれてくる理由は、呼吸をするため、生きるためだ。確かにそれは僕にも当てはまっていた。目の前に広がっていた惨状に耐えきれず叫び声を上げたことで、僕が生きていることを実験室の人間に気付いてもらえたのだった。
僕が無数の子どもたちの中で唯一生き残った理由は、誰にも分からない。
しかし、僕が今、生きている理由、いや正確に言うなら、生かされ続けている理由は歴然としている。僕の身体は既に、純粋に僕のものではなくなっていたからだ。
そうして僕は今も生きている。
それを僕自身が望むか否かには、一切関わらず。
rebirth/貴方に似た人