ハーフタイム!(ことの始まりを回想してみましょう)
そもそも数日前俺が、誕生日はどうしましょうか、と聞くと、
「あなたがいれば、十分です」
妙にキリッとした顔のカカシさんは、そう答えたのだ。
その時から、嫌な予感はしていた。いや、確信だ。この人ろくな事考えてねぇ、と思った。
何故ならこれは「一日一緒にいたいの〜」とかそんな可愛らしいことじゃ、絶対にない筈だからだ。比喩でも何でもない、「ヤリまくりますからよろしくお願いします」という意味である。ひどい。言われた俺は「カラダ目当てなのね…!」とか言って、泣き出して良いレベルだと思う。
まぁしかしこんなにハッキリと主張されると、無下にも出来ない。物欲や食欲の薄いカカシさんに喜んで貰えるプレゼントも考え付かない。
結局、いつも通りテキトーに作った食事(一応、カカシさんの好物のサンマもある)を出し、丸のケーキは食べきれないからカットケーキに2,3本ロウソクを立て、なんかその辺のス―パーで買った部屋着用ジャージをあげた。ひどい。やる気ないなぁと我ながら思った。
しかし、こんなボンヤリしたもてなしにも、カカシさんはウキウキしていた。多分、この後のメインイベントの為の前戯、焦らしプレイ位に思っていたに違いない。
カカシさんは風呂に入ると、ベッドで正座した。そして、
「さて! じゃ、お願いします!」
とか何とか言いながら印を切ると、影分身を一人出す。
俺は、
「ハァ?」
それしか言えなかった。
意味が分からなかったのだ。何かの特訓でもするのかと思った。実際、そう訊いた。
そんな俺に、カカシさんは「ヤダナー、影分身ですることなんて一つ、3Pですよ3P」と呆れたように肩を竦めた。
呆れたのはこっちである。そもそもそれは禁術です、と言う余裕もなく脱力し切った。 残念過ぎる。イチャパラの読み過ぎだ。そりゃ長い付き合いの中、ちょっと位の特殊プレイはこっそりやっても良い。だが、ここまで当然のように術まで使われるとは思わなかった。しかも口ぶりからすると彼の中では、誰でもやってる、みたいな感覚らしい。やらんわ、ばか!
首を落として、ガッカリ感丸出しスタイル(図解:orz)で脱力していると、カカシさんは、
「……だめなの? いや、だめなら…いいんだけど…」
と、消え入るような声で言った。
はっとして見ると、2人のカカシさんが、遠慮がちに、しかしジィーッと、こちらを窺ってくる。
俺の頭にはふと、昔やっていた金融会社のCMに出てくる、小さなチワワの姿が浮かんだ。
「えーい! チクショウ!」
俺は叫んだ。
子犬みたいな目をしたカカシさん(達)がビクッとする。数日前のキリッとした顔は見る影もない。哀れだった。
――イルカ、お前はこの人を見捨てるのか?
俺は自分に問うた。
だが、こうして自問する時点で答えは決まっているものだ。
俺は、覚悟を決めつつあった。
そもそも、数日前から、何かスゴイことをしなきゃいけないんだろうなぁとは思っていたんだ。
そうだ、当然予想できたことじゃないか、イルカ! そうだそうだ、この人がちょっと可哀そうなAV脳の持ち主だってのは分かっていたじゃないか!
そこで断らずに、メンドくさがってテキトーなお祝いしかしなかった俺に断る権利があるだろうか、いやない!
「よっしゃ!」
俺は一言叫ぶと、カカシさん(達)にダイブした。
急にノリノリになった俺に戸惑いながらも、カカシさん(本体)が受け止める。ぎゅうと巻きついて来る腕に負けじと抱き締めて、決意する。
――俺も男だ! 今日はこの人が、ガタガタ震えて泣いて謝るまでイカせてやるぜ!
……という訳でイルカ先生は頑張ったのでした(前半戦参照)。