あるところに、イルカ君という少年がいました。
イルカ君はイタズラ好きのやんちゃな子でしたが、とってもよい子だったので、みんなが可愛がっていました。
暗部のお兄さんもその一人です。
お兄さんは狐の面をかぶっていて、髪の毛はきれいな銀色です。この人は、どこからともなく現れては、なにくれとイルカ君の世話を焼いたり、忍術など新しいことを教えてくれます。
ある日、いつものようにお兄さんが、イルカ君にこう聞きました。
「イルカ君、知ってる? おとなになるには儀式があるんだよ」
イルカ君は首を振ります。
「知らないのかあ。まずいな…」
お兄さんは心配そうに呟きました。
イルカ君はそれを聞きつけて、不安になりました。イルカ君には両親がいません。だから当然教えて貰えるはずのことを、自分だけ知らないのかもしれないと思ったのです。
そんなことでは、立派な忍者になれません。イルカ君は必死にお願いしました。
「どうすればいいの? 教えて!」
すると、
「まかせーて!」
お兄さんはあっさり言いました。
そして、そそくさとイルカ君を物陰へ連れて行きます。
「何をするの?」
イルカ君は不審げに問いました。
「大丈夫、すぐ終わるからね」
お兄さんは優しい声でそう答え……ているようで、答えにはなっていません。
ともかく、言いながら、イルカ君の足へ手をやりました。
イルカ君のすべすべのお肌を、大人の汚らしい手が……もとい、お兄さんの手が這いまわります。
「ふふっ」
イルカ君はくすぐったくて笑ってしまいました。純粋な子なのです。
「がまんだーよ」
お兄さんがそう言うので、イルカ君はくすぐったいのをじっとがまんしました。
お兄さんはイルカ君の細い足首から、ふくらはぎ、ぷにぷにとしたふとももまで、くまなく撫でます。イルカ君はお外で元気に遊ぶよい子なので、ひざから下は黒く日焼けしていますが、ふとももの内側はまっ白でなめらかです。お兄さんはその辺りをじゅうてんてきに、なでなでしました。
その時、イルカ君は、きみょうな音に気づきました。
むふーむふー、と、せまい所を風が出入りしているような音です。何だろう、と思って、良く見ると、お兄さんの肩がはげしく上下しています。
どうやら、そのきしょくの悪い音は、お兄さんの鼻息のようでした。
「おにいちゃん、どうしたの?」
イルカ君は、お兄さんが具合が悪いのかもしれないと心配してたずねました。
が、お兄さんには聞こえていません。イルカ君のむちむちの足にむちゅうなのです。もういちど言いますね。むちむちに、むちゅうなのです。
イルカ君は困りましたが、とにかくがまんしました。もしかしたら、がまんするというのがおとなになることなのかもなぁ、と思いました。ある意味、しんりですね。
そうしてイルカ君がおとなしくしているので、お兄さんは、ずにのりました。
きしょくのわるい鼻息をいっそう大きくし、ついにイルカ君のこかんに手を伸ばしたのです。
イルカ君はびっくりしました。
「や、やだ!」
イルカ君はお兄さんの手を振り払います。
「そう……イルカ君が嫌なら…」
お兄さんはうつむいて、さぞ悲しげに言いました。
イルカ君は、罪悪感をおぼえます。自分からお願いしたのにもうしわけないと思ったのです。
「い、いやじゃないよ!」
イルカ君は、むりして言いました。
「あ、ほんと? じゃ、続けるね」
お兄さんはぱっと顔を上げ、明るい声に戻ります。
そして言うが早いか、また手を動かし始めました。
こんどは本気です。うむを言わせません。いきなりズボンを下ろします。じょうちょも何もありません。
現れたイルカ君の白いブリーフはかがやくようでした。お兄さんの鼻息は面を飛ばす勢いです。
お兄さんはまるでアルちゅうか何かのように震える手をそこに伸ばしました。そして優しく揉みしだきます。
イルカ君も、そこが擦れると気持ちいい、ということ位は知っていました。だけど、それがなんとなく、いけないことだとも感じています。
だから、はじめてひとの手で触られて、ほんとうはとても気持ちよくなってきていましたが、ぎゅっと手を握り締めて、がまんしました。
しかし、お兄さんはようしゃありません。
ゴキュン、と唾を飲みこむと、かがやくブリーフに手をつっこみました。そして直接擦ります。
「やぁ、ん…」
イルカ君は子猫のような、か細い声を上げました。
「イ、イルカ君、気持ちいいの?」
反して、お兄さんは暑い時の犬みたいです。フガフガ言っています。
とてもきしょく悪いかんじでしたが、イルカ君にはもう聞こえていません。お兄さんの手がイルカ君のおちんちんをたえずいやらしく刺激しているのです。
イルカ君の顔は真っ赤でした。丸いほっぺたはまるでリンゴのようです。
ところで、お兄さんはこれをベロンベロン舐め回したいな、と思っていましたが、面をかぶっていたのでできませんでした。こういう奴のために、暗部面はあるのかもしれませんね。ほかげさま、ありがとう。
「あっ、あ、やんっ」
「かわいいよ、かわいいよイルカ君!」
細い声とフガフガは、どんどんエスカレートしていきます。
お兄さんはブリーフをずり下げました。
ぴょこん、と立ち上がったイルカ君が飛び出します。半分だけろしゅつした先端部分は、愛らしいもも色です。
「しんぼうたまらん、ぺろぺろしてちゅうちゅうしたい」
と、お兄さんは思いましたが、暗部面を外すことはきびしく禁止されています。お兄さんはぐっとがまんしました。
やはりあれは、装甲ではなく拘束具なのですね。本来の力を抑えるための…。ほかげさまは偉大です。
お兄さんは、ぺろぺろしてちゅうちゅうする代わりに、イルカ君のおちんちんをぜんぶ手の平に収めて扱きました。
イルカ君は高い声を上げます。
「あっあっ、なんか変だよお」
イルカ君は、おなかの下辺りがぎゅうと重くなるような感覚に、涙をこぼしました。
「大丈夫! 大丈夫だよイルカ君! ハフハフ!」
お兄さんはそう言いました。何が大丈夫なのか、良く分かりません。
しかしまず、どう見てもお兄さんの方は大丈夫ではありませんね。たぶん、過呼吸でしょう。
「やだ、あっ、ああぅ、おしっこでちゃうぅ」
「おしっこ?! おしっこなの、イルカ君?! ハァハァ!」
イルカ君は必死でがまんします。ちなみにお兄さんの過呼吸は悪化する一方です。
やがて、
「あっあ…ぁううっ、ん、あぁっ!」
「ハフハフハァハァ! ハゥ!」
可愛らしい声と、きしょくの悪い呼吸音が合わさりました。
それからイルカ君は、長い間からだを震わせていました。
おとなと違って、外に出るものがなかったので、からだの中でいつまでもうずまくように何かが残っているのです。
「うーん、イルカ君にはまだちょっと早かったみたいだね」
びみょうに前かがみのままのお兄さんが呟きました。
「これじゃ、だめなの?」
少し落ち着いたイルカ君が問いかけます。
「ちゃんとおとなになると、白いのが出るんだよ。ここから」
お兄さんはそう教えて、イルカ君のおちんちんの先っちょを、つんと突きます。
「あぅっ。や、やだ、やめて」
イルカ君はあわてて両手をこかんに当てましたが、お兄さんはそれから2、30回はつんつんしました。しつこい奴です。もしかすると、あわよくばもういちど、と思ったのかもしれません。さいていですね。
ともかく、こうして、イルカ君はまた新しいことを覚えたのでした。
さて、ここでお話はおしまいです。そうなると、あのお決まりの言葉を言うものです。そう、めでたしめでたし、というやつです。
しかし、残念ながら、このお話は他の言葉を言わなくてはいけません。
よい子のみんなは、ちゃんと分かっていますね?
さぁ、みんな、大声で――
お巡りさーん、こっちです!