知りたい。
どんなに知っても、ちっとも足りない。
ともかく、ただ知りたい。知りたいのだ、異常に思える程に。

もっと多く、もっと深く、もっと隅々まで、もっともっと――


「…も、…カカシさん、なに…、ん」
いつまでも長々としつこく咥内を舐め回していたら、流石に抵抗されたが、気にせず続ける。言葉ごと吸い取れたら良いのに。そうしたらイルカ先生の声はどんな味がするのか分かるから。
「ちょ、…と、…!」
遠慮なく目一杯叩かれてやっと唇を離す。まだ満足してないけど。一晩中こうしてたら先生はどうするか、どうなるか。そんなことだって知りたいのに。
「イルカせんせ…嫌…?」
「嫌じゃ、なく、て…くるし、んですって…」
先生が必死な荒い呼吸を繰り返す。そんな姿も見たかったと言ったら、叩かれる位じゃ済まないだろうから言わないでおいた。
苦しいと言われてしまったので、今度は、横を向いた先生の晒された耳を、舐め上げる。唇で挟み、軽く吸うと、先生は身体を固くさせ、喉を反らせた。
だから次は喉が気になってそちらへ移動した。耳の裏側から滑らかに続く筋を辿って、張り出た骨に吸い付き、首の薄い皮膚にぺたりと舌を張り付けてみる。
くすぐったいのかイイのか、イルカ先生が少し身を捩った。肩が上がって胸が突き出る。そうなるとそこに触れたくなる。別にそういう訳じゃないと分かってはいるけど、触れるべきところを先生が教えてくれているみたいに感じた。
突き出た方の肩を尖らせた舌で辿りながら、まだ柔らかい乳首を指先で回すように捏ねた。
「…ん、」
イルカ先生の鼻から抜ける吐息のような微かな声が、それで良いのだと教えてくれた。
突起をそっと指で挟み擦るようにすると、段々固くなってくる。なだらかな曲線の綺麗な肩も惜しかったが、最後に軽く噛みついて味わい、唇も胸へ移った。
全体を覆って小刻みに動かし、尖ってくるのを舌で感じ取る。大分尖ったら吸い付き、舌で扱く。
「…ぁっ…、く…」
小さく声を上げて、先生がびくりと跳ねる。嬉しくて、より熱心にそこに口付けた。舐め、少しだけ噛んで、吸い上げ、唾液を広げ舌で転がす。
上がっていた肩が降りて、今度は背が反り、両胸が突き出されたので、もう片方の突起も同じようにした。
「ん…ぁ、ちょ、と…も、止め…」
しばらくそうしていたら、先生の手が俺の髪を掴んできた。ちょっと中断して先生の顔を覗くと、「ずっと…そんなとこ触って…楽しいんですか…?」と聞かれた。
ああ、先生、それは愚問。
「たのしーですよ。当然デショ」 そう答えて、俺はまたすぐ胸に吸い付く。
こうしていると先生の感触も味も分かるし、声も鼓動も至近距離で聞こえる。それが楽しくない筈がない。もうずっとこうしてたって良い位だ。
すると、ぎゅうと頭を両腕で抑えられてしまった。動けないからせめてぴたりと胸に耳をつけ、忙しなく打つ先生の胸の鼓動を聞いた。
「…アンタ…頭おかし、…です、よ」
確かに、俺は頭がおかしいんだろう。こんなにイルカ先生に触れたい。何処も彼処も全部知りたい。
「うん。ゴメンネ」
素直に謝ると、ふっと軽く胸を上下させて先生は笑い、抱えた俺の頭を撫でてくれた。
その手が優しかったから、ついまた、ちゅうと彼の肌に吸い付いてしまったが、先生は怒らなかった。同じ速度でずっと撫で続けてくれる。しょげた大型犬を仕方ないなぁって撫でるみたいにゆっくり優しく。
ふと、俺が先生を大好きでこうして触り倒して舐め回してしまうのと、決して受身な性格じゃないのに俺のすることを先生が許してくれるのは、同じことかなと思った。同じ気持ちなのかな。そうだったら嬉しい。
伸び上がってキスする。今度はしつこくしないで軽くにした。ふっと、また先生が笑い、抱き締めてくれた。ぎゅうと抱き締め返すと、下腹に熱くなったお互いのが当たっていて、何だか可笑しくなって俺も笑った。
「イルカ先生…」
呟いたのを合図に、ゆっくり腰を揺する。先生も同じようにし始めると、笑い合った余裕はすぐに吐息で消えた。
ぬるぬるとどちらのものか分からない液体が腹を汚し、たまらなくなって俺はずり下がった。固くなっている先生のそれを、乳首にしたみたいに、舐めて、吸い上げる。
「…は、ぁ……」
溜息のような声がして、きゅと、先生の腿が引き締まる。なので、やっぱり教えられている気になって、内腿を撫で回した。ビクビクと先生の身体が跳ねる。反応がはっきりしていて嬉しくて、胸の時より丁寧にじっくりと愛撫した。
喉の奥まで咥えて扱いて、滲み出る体液を舐め取る。舐め切れずにとろとろと垂れていくのを追って、腿を押し上げ、袋まで舌を這わせた。
そうすると気になってくるのが、腿の筋肉と同時に収縮する窄みだ。そこまで液体が流れるのを待って、舌を伸ばす。
「ちょ、ッ…!」
素早く先生の手が俺の頭を押さえたけど、続ける。だって舐めたいんだ。全身、味わいたい。本当は身体の奥まで、内臓とか、心とかまで全部、直接舐め回したい。それは無理だって分かってるから、せめて舌の届く範囲位はさせて欲しい。
一筋ずつを辿り、尖らせた舌先で中を抉じ開けるように舐め擦ると、そこが収縮して舌が勝手に更に奥まで呑み込まれた。
「ぅあ、ぁ……や、め…っ…」
離そうとして先生がぐっと俺の頭を押す。力ずくで手を抑えようと思えば出来るけど、これも先生の反応の一つだと思うと、躊躇われる。代わりにもっと舐めやすいように腿を更に押し上げ、もう片手で尻を割り開いた。
伸ばせる限界まで舌を差し込んで回すように動かすと、これ以上ないほどきつく締まる。先生の手は押すのではなく、髪をぎゅっと掴むだけになり、ペニスからはたらたらと液体が零れてきて、俺の鼻先を濡らした。
しばらく舐め回して楽しかったけれど、もっと奥まで感じられる術を知っているから満足できなくなった。もっと深く、触れたい。
ベッドサイドの引き出しから潤滑剤を取って、性器からその奥にまで垂れるように沢山押し出す。くちゃくちゃと音を出す位に全体に撫でつけながら、指に纏わせ、少しずつ中に入れた。
回すようにして撫で、舌で届くより遥かに奥の感触を知りながら、広げていく。
もっと。指先でイルカ先生の全てを感じようと集中しながら、焦燥も感じる。もっと、もっと沢山、もっと深くが良い。
その方法を知っている、と言いたげにペニスがビクビクと独りでに震え、俺は呼吸を荒くし、我慢できずに二、三度扱いた。それ以上は歯を食い縛って耐えながら、ゴムを着ける。イルカ先生が脱力し、半ば閉じた、ぼんやりとした目でそれを見ていて、その視線だけで息が上がった。
「…イルカせんせ…」
恥ずかしいほど掠れる声で言外に了承を確認し、覆い被さって、先生の両足を少し上げる。ほとんど膝に乗せるようにしておき、片足の膝裏と腰を支えて、中に入った。
「…くッ、…」
二人同時に唇を歪めて短い呻き声を発する。この瞬間はいつでも何処か新鮮な衝撃があった。幾度も体験したことだとは決して思えない、新しい感動を覚える。
きっとイルカ先生は毎日生まれ変わっているのだ。そうでなければこんなに、知っても知っても知り尽くすことが無いなんておかしい。
「大丈夫…?」
全て収めて、先生の顔を覗き込むと、先生はこくりとゆっくり頷いた。しかし、喉を反らし、意識的に深い呼吸をしようと努力している。
まだ大丈夫そうじゃないので、俺は動かず、抱えた足を撫でた。片足をちょっと曲げてもらって、足首を掴み、踵を軽く噛む。横に突き出た丸い骨を口に含んで、飴玉みたいに舐める。それからぴんと綺麗に張った足首の筋から脹脛まで丹念に口付けた。こうやっても分かる訳ないけど、この足がどんなことがあっても強く立ち続けていられる理由も知りたいと思っている。
「…カカシさん…」
落ち着いたのか、イルカ先生が片手を伸ばして俺の腕に触れてきた。掴んでいた足は肩にかけて、その手を握る。
その余りの温かさに目を瞑った。そして視覚を失って強まったそれ以外の感覚に感じ入る。思わず腰を揺すった。
「…ふ、ぁ…ッ」
突然の刺激に先生は全身を固くし、繋いだ手に力がこもった。俺もそれを握り返して、動き出す。
「っん、ぅうう、ッ…」
律動に合わせて、先生の噛み締めた唇から、押し殺した声が漏れる。
それをもっと聞きたくて、段々に強く腰を押し付けるようにすると、先生がまるで逃げるように身体を少し捻った。それから繋いでいない方の手を彷徨わせ、投げ出されていた枕を引き寄せると、それで顔を覆ってしまう。
俺はそれを残念に思って、上体を倒し、覆い被さって、枕を剥ぐ。
「ん、んッ…」
体勢が変わって圧迫感があるからか、隠すものを取られたからか、抗議するようにイルカ先生が呻いた。しかし、これは譲れない。先生の顔も声も、隠すなんて駄目だ。
枕はベッドの下に放り投げ、空いた手で先生の唇を撫で、人差し指を差し込む。そうしておいてから、律動を再開する。
「はッ、ぁあ…、や…ッ!」
指の所為で噛み締められなくなって声が上がった。顔を背けて指から逃れようとするが、しつこく追い縋る。仕返しとばかりに歯を立てられたが、逆に奥に差し込んで、舌を撫でる。イルカ先生になら、別に指位噛み千切られたって良い。
「せんせ…」
切羽詰まった声が出た。多分表情もそうだ。俺だってこんなに見っとも無い姿を晒しているのだから、先生も見せて欲しい。全部、何もかも。
「お願い…お願い、イルカ先生…」
中を擦り上げながら、何度も繰り返す。もう自分でも何を希っているのか分からなくなる。
奥を突くたびに、先生の唇から俺の指へ唾液が伝う。流れ落ちてしまう前に舌で舐め取る。すると、イルカ先生も舌を伸ばしてきて自分の唇を舐めた。誘われるようにそこへ舌を這わせ、触れ合うと指を引き抜いて、直接絡め合った。
腰はもう止めることが出来ない。お互いの舌を噛まないように気を付けながらも、二箇所の粘膜を味わうことに没頭した。
「あッ、は、ぁ、んん…、カ、カシさん…っ」
唇を半ば触れ合わせたまま苦しげに喘いだイルカ先生が、シーツを握り締めていた片手をバタつかせる。陸に上げられた魚のようにも、溺れる人間の縋る手のようにも見えた。その手を取って、強く握りしめる。
そして両手を握り合い、ベッドに押し付けると、体重をかけるようにして入り込める限界まで奥を強く突いた。イルカ先生の肩に額を置き、快楽に歯を食い縛って耐えながら、幾度もそれを繰り返す。
「あ、アッ…あぁッ…!」
もう隠さずに上げてくれる声を至近距離で聞き、堪らない気持になる。もっと聞きたい。もっと感じたい。もっと近くで、もっと深く。その思いは自覚する前に行動へ移る。気が付くとより深く、より強く、腰を打ちつけていた。
「は、ぁあ…、もッ、カカシさっ…」
「っは、イル、カ…、イルカ…ッ」
それ以外の言葉を知らないかのようにお互いの名前だけ繰り返して、終わりまで駆け上がる。
息を詰めたイルカ先生が大きく一つ痙攣し、内部がうねるようにきつく締まった。腹に広がる温かい粘液を意識することもなく、無我夢中で腰を深くに押し付ける。同時に、頭の芯で見たこともない激しい光が瞬いて、耐えることなど考えも及ばずに射精していた。

長い長い余韻があって、ようやく顔を上げ、息を整えるイルカ先生を眺める。そうしながら深く息を吐き、中から抜け出すと、ゆっくりと瞼を開いた先生と目があった。くっ付いてしまったように繋がっていた手を引き剥がして、先生の額に張り付いた黒髪を指先で退かす。そうして見つめ合い、まだはっきりとしない感覚の中で、それでも二人で微笑んでいた。
口付けようとして、ふと、自分の晒されたペニスに気付き、確かに着けた筈のものを探して視線を下げる。イルカ先生の足の間で、残されたゴムからとろりと精液が零れるところだった。慌てて引き抜く。
「――ん、っ」
先生の鼻にかかった甘い声と、くちゅりという微かな水音が聞こえ、再び息が上がった。

ああ、ここに続けてもう一度入ったら、貴方はどうする、どうなるだろう?
ねぇ――教えてよ、イルカ先生。




...to be continued?






スペランツァでは、セーフセックスを推奨しています。
(ま、がっつりオーラルしちゃってるけど。あ、イルカせんせーにも着ければ良かった)(言うに事欠いてそれか…)