5月26日 快晴
俺の誕生日。
何時だか分からないが早朝。
俺の腰にひっついていたカカシさんがもぞもぞし始めたのでちょっと眠りを中断。カカシさんはあんな眠そうな顔してるくせに意外と寝起きが良い。が、俺はそうじゃないので、また寝た。
6時。
目覚ましが鳴る。
と思いきや、「朝ですよ〜」とカカシさんの声がした。
うつ伏せで寝てた俺の肩を揉んでくる。エロ系か!と思って身構えたが、普通にマッサージされた。気持ちいい。
6時10分。
「はい、おしまい」と言う声を合図に起きた。
マッサージで血が巡ったからか、いつもよりすっきりと目覚めることが出来た。(もしくはカカシさんがいつエロ系に走るかという緊張感のせいかなぁ)
6時20分。
諸々の身支度をした後、居間に戻ったら、朝食が出来ていた。
温泉旅館の朝ご飯的メニュー!(おかずが細々といっぱい)
いつも俺一人の時の朝食は、とりあえず炭水化物を摂る!というだけのつまらないメニューなので、嬉しい。
ちなみに、いっぱいに盛られた白米は、誕生日プレゼントだ。(別に何もいらないのにどうしてもと言うから、俺が「米」とリクエストした)
昨夜日付が変わった瞬間に米俵を出された時は驚いたというか呆れたが、炊かれてツヤツヤの姿を見ると有り難くなった。そして美味かった。
6時50分。
片づけもカカシさんがしてくれるというのに甘えて、日課のランニングに出た。
いつもは10km程走るが、時間がおしているのと、食べ過ぎて腹が重かったので5kmにしておいた。
夜また走ろうと思う。
7時10分。
風呂。珍しくカカシさんが覗きに来なかったので快適。
毎朝風呂後、涼むついでに半裸で日光浴するのだがカカシさんがいるので割愛。
急いで身支度する。
7時30分。
アカデミーへ出勤。
途中の道、いつも俺を威嚇してくる(黒いから同種だと思ってるのか?)カラスがいなかった。餌場を変えたのか。心が平和になった。
白い野良猫に挨拶。(毎日会うので愛着がわいて、俺は勝手に「ネコさん」と呼んでいる。ちなみにネコ、までではなく、ネコさん、までが名前だ)
〜12時30分。
授業準備、及び授業。
今日の俺は調子が良い。
ギャグにキレがあるらしい。生徒達がすごく良く笑ってくれる。
(いつもは、オヤジギャグだーとか言われて小馬鹿にされるか、くだらないと失笑されることもあるのに)
流石に、調子に乗って「先生、芸人になれんじゃないか?」と聞いたら、不思議な遠い目をされたが。
12時35分。
食堂に向かう。
日当たりの良い窓際にカカシさんがいた。俺が席確保を頼もうとしたら、先に頷かれた。分かってくれているらしい。
食券売場に並んでいると、後ろからツンツンつつかれた。何かと思ったら、受付で良く一緒になる奴が、「これ、間違って買っちゃったからやるよ」と言って、A定食の食券をくれた。(ラッキー!月末だから苦しかったのだ!)
過剰に喜んでいたのだろうか、「お前って幸せな奴だな…」と遠い目をされた。
おばちゃんと談笑。今日はエビフライを1本サービスしてくれた。(ラッキー!)
13時。
カカシさんと一緒にアカデミーの裏の野っ原を散歩。
真ん中辺りで座って、いつもならデザートを食べるのだが、今朝急いでいたので持ってくるのを忘れた。ので、ぼーっとすることにした。
すると、カカシさんが「ちょっと待ってて」と言って瞬身で消えた。
一人になって、ぼーっとしていたら、足元に四つ葉のクローバーを発見。
大切に摘んでいたところで、カカシさんが戻る。
でっかいさくらんぼを持ってきてくれた。今日はデザートなしかーとがっかりしていたので嬉しかった。そして美味かった。
13時30分〜。
午後の授業開始。
生徒たちの苦手な歴史だったが、誰も寝ない。驚いた。
眠くない訳ではないようで、瞼が落っこちそうにはなっている。が、いつもなら早々に白旗を上げる睡魔相手に、必死の形相で闘っていた。
飯の後は眠くなるのはしょうがないので、ちょっと位は俺も許しているのに。(血走った目を見開きながら授業受けられても、ちょっと怖いし)
だがまぁ、努力はとても嬉しかったので、授業が終わった時にはたくさん褒めてやった。
16時。
アカデミーの事務仕事は後回しにして、報告書受付に向かう。
が、途中廊下で生徒たちに囲まれた。
何だ何だと思ったら、皆ポケットから素早くアメを出し始めた。俺の真似をしているらしい。
俺の、巻物ホルダーからの高速アメ出しは、中忍仲間にも見切れないと言われる。だからまだ忍びにもなってない生徒たちには絶対無理なのだが、皆一生懸命チャレンジする。
中にはチャクラを使って何とかしようとする奴までいた。 その努力に俺はとても感動した。(俺は努力する人間に弱いのだ)
皆を励ましてから、改めて受付へ向かう。
16時20分。
受付業務開始。
上忍師の方々が続々報告をしていく。俺が知っている生徒のことを教えてくれるお楽しみタイムだ。いつもは無口なタイプの方も今日は機嫌が良いのか、俺が聞く前に細かく教えてくれた。嬉しい。
しかも誰の報告書も、読めない字や曖昧な記述、訂正個所が全然なかった。奇跡だ。(任務帰りで気が立った忍びに「これ何て読むんですか」と聞く時の、毎回死を覚悟する気持ちは受付にしか分からないだろう)
17時。
カカシさんの気配がしたような気がする……。
(またやってんのか、あの人は)
18時。
小腹が空く時間に、丁度、差し入れとしてたこ焼きが回って来た。
良く下忍にピッタリの低ランク依頼を入れてくれる里のおばちゃんかららしい。
報告する側も受付側も、皆でおやつタイム。和んだ。
19時30分。
受付業務終了。
アカデミーに寄る。が、持ち帰ってやろうと思っていた雑務が片付けられていた。
「あ、ついでに俺やっといたよ」と同僚が言ってくれた。感謝。
小テストだけ持ち帰る。
19時35分。
特に意味も歌詞もメロディーもない鼻歌を歌いながら、帰宅。
前方にアオバさん発見。と、同時にその先にバナナの皮発見。
まさか……と思っていたら、なんと!
アオバさんがバナナの皮で滑って転んだ…!
あまりにもシャレにならなかったので、急いで気配を消していない振りをした。(以前道端でバナナの皮を見た時、本当に滑る奴がいるなら見てみたい、と思ったけど、実際見ると、笑う所じゃないよ…)
アオバさんは何だか悔しそうな顔をしていた。
19時40分。
予想通り、カカシさんが来た。
(やっぱり今日も俺をつけ回してたんだろうな。止めろって言ったのに)
夕飯の相談。カカシさんが作っても良いと言ってくれたけど、やっぱり一楽に行きたい。
と、思ってたら、分かったらしく、「やっぱり一楽行きましょうか」と言ってくれた。
19時45分。
一楽到着。
今日はつけ麺デーだった!(やった!たまにつけ麺デーがあるのだ。一楽はつけ麺も最高だから嬉しい。つけ麺って、大量の麺が盛られてるのが興奮するんだよな)
それに 何だか知らないけど、チャーシューがいつもより1枚多かった。(テウチさん…まさかもうボケが…?味は全然変わりないけど…)
20時。
完食。(美味かった……)
そして、なんと丼の底に、伝説のテウチさんマークを発見!(長年一楽に通っていたが、見たのは初めてだ。ラーメン通の中でも、見たという奴が余りにもいないので里伝説とされていたが…本当にあったんだ!)
テウチさんいわく、「間違えた」。(実はテウチさん専用の丼だったらしい。伝説になる訳だ)(テウチさん…ボケは深刻か…味は変わりないのに…)
でも珍しいとのことで、トッピング無料券をくれた。
20時15分。
一楽を出て、家で晩酌をすることに。
どこに持っていたのか、カカシさんは一升瓶を出してきた。(流石上忍、俺のアメ出しとはスケールが違うな)
20時20分。
カカシさんがつまみの準備をしてくれるというので、その間に風呂。
入る直前、入浴剤がないことに気付く。切れていたのに買い忘れたのだ。
しかし、未練がましく洗面台の下の棚を漁ってみたら、なんと火の国秘湯シリーズが一袋落っこちていた!
心行くまで風呂を楽しんだ。
21時。
入れ替わりでカカシさんが風呂に入っている間に、持ち帰っていたテストの採点。
一部謎な解答もあったが、皆頑張った。
21時30分。
風呂から出てきたカカシさんと共に、ケーキが出てきた。
律義に年齢分のロウソクも立っている。(この歳になるとケーキが穴だらけになるのにな…)
ちょっと恥ずかしかったが、暗闇のロウソクの火、その向こうの笑顔を見て、子どもの頃を思い出した。何度も何度も火をつけ直して吹き消した。大切な時間だった。
ちょっと切なくなったが、今という時間の方がひどく大切に思えて、そっと火を吹き消した。
(ありがとう、カカシさん)
21時40分。
晩酌。
今日の出来事報告会。今日一日、どうもラッキーなことが多かった、と報告。カカシさんは他人事なのにとても喜んでくれた。(ちなみに彼の方はやっぱり俺をつけ回していたようで、何も言えることはないらしい)
途中、俺の缶ビールをカカシさんが飲みたがったが、断固として拒否。(缶ビールは1本全部飲まなきゃ物足りないのだ!)
ビールはさっさと飲み干して、二人で日本酒を飲む。美味い。つまみも美味い。
23時。
眠くなってきたので、晩酌終了。
歯磨き。
いつも思うが、なんでカカシさんは歯磨きがあんなに美しくできるんだろう。(俺は歯磨き中口からダラダラ零れるが、カカシさんは口の中に留めている。気持ち悪くないのだろうか)
23時10分。
就寝。
カカシさんはお誘いをかけてきたが、眠いのであしらった。
寝具が柔らかく、お日さまの良い匂いがした。カカシさんが干してくれたのだろう。
でもカカシさんは押しつけがましいことを何にも言わず、ただ抱きつくだけで手も出さないようだ。
ちょっと申し訳ないと思ったけど、如何せん、眠いので無視して寝始めた。
23時15分。
うとうとしていたら、カカシさんが「イルカ先生、今日幸せだったかな」と言った。
独り言みたいに小さな声だった。
それで俺は気付いた。ははーん、と思った。
いつもとちょっとだけ違うことばかり起きた、ちょっとしたラッキーが沢山重なった、今日。とっても大きい幸運が舞い込むんじゃなくて、小さな幸せだったけど、それが1分1秒も損なわれなかった。
思えば、ちょっと普通なら有り得ないことも起きていた気がする。
目を開いて、「カカシさん、今日一日ありがとう」と言うと、カカシさんは驚いた顔をしてから、嬉しそうに笑った。
(このリアクションからいって、多分、俺の思った通りだろう)
それから、まどろみの延長みたいな、穏やかなセックスをした。
24時。
うとうとしている俺の身体をカカシさんが拭き清めながら、「先生、幸せ?」と聞いた。
俺は迷いなく「はい」と答えた。
里が平和で、カカシさんが傍にいる。そういう、俺が大切にしている日常を、つつがなく過ごせた。多分、俺にとってこれ以上の幸せはないだろうから。
ザッツ上忍の本気。