俺が死に場所を見つけた時の話をしよう。

忍びは生き様ではなく死に様に意味があるものだ。
どう生きるかではない、どう死ぬかだ。
俺が18の時から読み続けている愛読書にもそうある。

友や師や、生きるべき者が死に、死ぬべき者である自分が生き延びる、それは苦痛でしかなかった。
俺はずっと、死ぬべき時、死ぬべき場所、忍びらしい最期を、探し続けていた。


ある時、探し続けたそれが不意にやって来た。
到底不可能と思えるような任務が回ってきたのだ。
それを果たすなら、自分は確実に死ぬだろう。
忍びなど、まるで使い捨ての塵紙より薄い存在だ。
塵溜めに行けと言われれば、その通り、塵のように打ち捨てられるしかない。
俺はこれが求めていた死に場所か、と予感した。


任務前夜、俺は最後の心残りを片づけておくことにした。


実は、俺はある人に懸想していた。
未練ともなろうことであったが、しかし想い人は里の忍びだった。
自分が命と引き換えに一人でも敵を道連れにすれば、
それだけ彼の危険は減り、彼の住む里を守るということだ。
彼の為に死ねるのなら悪くない。
彼の為に、彼を想って、命を賭して彼を守ろう。
これが俺に相応しい死に様というものだ、と決意を益々固めた。


俺は彼に想いを告げた。
きっと逢えるのはもう最後だから、と言うと、彼は涙を零して別れを惜しんでくれた。
返事はいらないと言ったのに、泣きながら同じ気持ちだとも言ってくれた。
俺はもはや何も思い残すことはなかったが、彼がよいと言ってくれたので、最後だと思い、彼と交わった。


死ぬ時は彼を思い出そう。そう思って隅々を記憶するように丁寧に愛した。
最初で最後の夜だという思いがあったからだろうか、彼は普段の様子からは信じられないほどに乱れ、俺を求めてくれた。
なるべく長く、出立の間際まで触れていたくて、我慢のならない瞬間まで耐えてから、俺は彼の中に入った。
彼の中は、“死ぬ程に”良かった。
俺は思った。
――死んでも良い。
今死んでも良い。本当に。


そして、決意した。





――…ていうか、ここでしか死にたくない。









かくして、俺は死に場所を見つけた。

そして、必死の任務から無事に帰還した。


以来、無理な任務も軽々とこなしている。

ま、このままいくと、俺は慰霊碑には載らないだろう。
だって、俺、腹上死決定だから。

そう、それが俺の死に場所だ。





……え? 何よ?
何か文句あんの?

死に様?
何それ、食べれんの?

忍びらしい最期?
知るかバーカ!

そんなもんな、
イルカ先生の前じゃ、
ティッシュより役に立たないね!
(ティッシュはホラ、アレとか拭いてあげれるし)

んなクダラナイもん、
ゴミ箱にポイだ!
覚えとけ!










ノーコメント。